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jyaian-ism’s diary

真面目にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ!

最後まで読めばカタイ話じゃないから!

時は21世紀後半。

 

朝鮮半島統一を目論む中国・北朝鮮は武力による38度線の軍事ラインを侵攻、1953年に結ばれた停戦協定が解かれ第二次朝鮮戦争を引き起こした。

 

この戦争は韓国だけでなく日・米・西欧諸国とロシア・東欧諸国を巻き込み第三次世界大戦となり、自由主義国 対 共産主義国 の総力戦となった。

 

およそ10年間にわたって展開されたこの戦いは自由主義国陣営の勝利で終結し、共産主義国自由主義国が分割して統治することで各国の非共産化を目指す条約が結ばれた。

 

これで世界はアメリカ・日本・西欧諸国によって支配され平和を取り戻したが、数十年にもおよぶ戦いはこの保護国らを疲弊させ、もはや自分たちの国を自分で治ることができなくなった。

 

このような状況下で唯一オランダだけは自国を統治できる力を持っていた。

世界中が焼け野原となり、食料不足が深刻化するなかで、オランダは得意の干拓技術で海面を農場と変え、食料自給率は100パーセントを超えていた。

 

また第三次世界大戦の際に人類はエネルギー資源の枯渇に直面したが、オランダは石油危機の際に自動車・電車優先のインフラを自転車・歩行者優先のものに整備し直したおかげで、風力発電のわずかなエネルギーだけで自国をまかなえたのである。

 

日本は原子力発電を含めると自給率は15パーセントあったが、原子力発電に使用する資源(ウラン)を完全に輸入に頼り切っていたため、自給率は1パーセントに低下、国として機能しなくなっていた。

 

食料不足とエネルギー不足は日本だけでなく世界各国が陥っていたため、アメリカは失脚、将来性のあるオランダが世界を先導することになった。

 

世界中にオランダの使節団が訪問し、大きな改革が始まった。

 

世界の公用語オランダ語となることが決まり、新聞・テレビ・ラジオ、ありとあらゆるものがオランダ語で染められていった。

 

蘭学が発祥した土地に世界中の頭脳が集結し、人類が直面する課題に対して最先端の科学技術は世界に明るい希望をもたらし、エネルギー、そして食料不足の問題を数年かけて解決したのである。

 

そして時は22世紀初頭。日本の文化は廃れていき、オランダ文化に塗り替えられていく中で、日本人に愛国心が芽生え、なんとか自国の文化を取り戻そうとしたが、なかなかうまくいかなかった。

 

そんな中で日本国民が意地でも伝統で続けてきた1つの文化があった。

 

それは「流行語大賞」である。

 

世界中がオランダ語を使うようになったこの時代の流行語大賞は21世紀でいうとアカデミー賞のようなものだった。

 

そして世界中に復興の兆しが見えてきたこの年の流行語大賞

 

それは「ontembaar」だった。

 

これは世界中の為に尽力してきたオランダ王国の王女が、かつての平穏な世界を取り戻した末、安堵の表情を浮かべて放った冗談の効いた一言である。

 

日本語訳にすると「手に負えない」だ。

 

元から識字率の高かった日本ではまだオランダ語は完全に浸透していなかったが「ontembaar」という単語は日本国内で誰もが知っている言葉になった。

 

そしてこの「ontembaar」という単語。

 

実は江戸時代から日本で使われていた「おてんば」が元となったオランダ語であったのだ。

 

鎖国時代に日本と交易をしていたオランダ人が自国に持ち帰ってなんとなく使った言葉が、何世紀も時代を超えてこうして日本でオランダ語として扱われることの稀有さ。

 

ユーキャンは日本文化復興ののろしをあげた。

 

おわり